Atelier Sagan
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2001A's展
2001アズ展/座談会 3


「三本しか線描けなくて、一枚の絵にならなくてもいいのよね。そこに止まって、ものを見たってことが全然違うのよね」野村
■ 現場に立ったら

斎藤:例えば、その日に初めて風景と会ったときに、すぐには描けないよね。僕らが行くときに、多少はねらいがあるじゃない。こういう風景だろうな、とか、こういうのがきっと描きたいんだろうな、とか。

野村:それはね、あたしらのいやらしくなったところだから。

斎藤:実際に公園なんかでイーゼル立てて描くとき、最初は全部目に入るじゃない。その中で多少一体感ができてきて、目が慣れてきて、それで初めて筆がとれるじゃない。そこで、時間っていうイメージ、自分の中でどういう絵を描くかっていうイメージ、僕らがアトリエで練っていくのと、似ているような気がするな。

野村:いつもスケッチの習慣とかってあるの?

斎藤:いつもではない。ただ、動機付けで、こういうの描きたいと思うとき、初めてのものと対するときは、スケッチすることに
している。

サカイ:アイルランドに行ったときは、どうそこの時間を過ごしたの?
斎藤:最初はね、もう、1、2時間ボーとしているの。雨とか風とか吹いてくると、なんとなく調子に乗ってくるの。ものすごくきれいに見えている時は、あんまり描きたくないんだよね。以外とね、くだらないもの描いているんだよね。広がった空間なのに、手前の石描いたりね。

柴村:そうそう、だいたいそう。

サカイ:柴村さんはニューヨーク行ったとき、スケッチしたって言ってたけど、どんな感じにやったの?

柴村:美術館で、ベラスケスのファン・デ・パレーハ。あれが好きだったから模写したな。あとは、セントラルパークに行って、もうリスがすごいのよ、寄ってきて、そういうのを描いたり・・・。要するに、美術館に行ったら模写だよね。模写はやっぱり描くことによって絵の構造を理解できるから、見ているんじゃなくて、描くことによって、描く側の立場に自分が入りたいわけなんだよね。スケッチっていうのは、その現場に立ったのちのことであって、そういう意味では、習作とか、目的をもっていないんだよね。

斎藤:例えば、全然違う街でもどこでもいいんだけど、スケッチする場所を探しつつ、ひたすら歩いて、時間と、自分のイメージと重ねていかないと。ただ行って、バスで着いて、さぁ描きなさい、って言っても、そりゃ無理だよ。

野村:その、うろうろしている時間が全然無駄じゃなく、その地面を歩いていることとかが全部あって、その場所に行ったときに描けるっていうウォーミングアップで、すごく大事な時間だと思う。

柴村:それってほら、仕事終わってサガンに来て、すぐに描けって言っても無理だっていうことともちょっと似てるかなって思う。

斎藤:そのために、終わったら再度教室で描いてもらうと、違うんだと思うんだよね、みんなうなりながら描いているんだけど。先生、やっぱりスケッチの方がよくないですか?って言うのが多かった。つくってる感じになっちゃうんだよね、絵を。

野村:創るという行為は、ある意味では、タブローの中では大事な要素でしょ。印象だけとか、感覚だけで終わる絵は弱い。

斎藤:半島の先の方にいて、すごい寒かったって。あそこで寒かったっていう体感が、帰ってきた時に、絵画の中に入りやすい状況をつくる。遠目で見ているだけだったら、寒いっていう感覚と、色とかそういうものが合体してこないじゃない。例えばセピア系の色を使うのか、コバルト系の色を使うのかというときに、そういう感覚みたいなのって入ってくると思うんだ。それがさっきから言っている、フィールドを歩くっていう、石でも日のあたっているところがあったりとか、ちょっとゴツゴツしているのがあったよなっていうイメージでさ。鳥海青児がメキシコにスケッチ旅行に行って、全然絵を描かないんだ。彼は「俺は目で描いているんだ。心眼で描いている。」って言うんだって。そして、描く絵がやっぱりそういう絵なんだよね。

サカイ:帰ってきてから描いたの?

斎藤:そうそう。絵画として、最初からタブローになっているんだよね。あ、こういうスケッチもあるんだと感心したんだ。



「スケッチっていうのは、その現場に立ったのちのことであって、そういう意味では、習作とか、目的をもっていないんだよね。」柴村
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